wool's blog

児童文学について、書評やコラムなど

2023-01-01から1年間の記事一覧

チョコレート戦争は、何の為の争いだったのか —刊行から59年後に読む『チョコレート戦争』

会社員として勤めていた頃、子ども向けの商品の宣伝や販促を企画していた。「子どもの未来や心の成長のために」と仕事に打ち込む一方で、意に沿わない商品を売る施策を立てる時はいつもストレスを感じていた。社会の格差は広がり、少子化が進む。こうした背…

『目をさませトラゴロウ』に見る、人間の営みの滑稽さ

60年代幼年童話の代表作、小沢正の『目をさませトラゴロウ』の魅力を書きました。 政治について考えていると、どこか笑えてきてしまうことがあります。こんな馬鹿らしいことを真面目に批判している自分達って。しかもそれを何世紀もずっと続けているなんて。…

意見を貫き通すための「ぼうけん」 ー『おしいれのぼうけん』書評

「さくらほいくえんには、こわいものが ふたつ あります。ひとつは おしいれで、 もう ひとつは、 ねずみばあさんです。」 1974年刊行の幼年童話『おしいれのぼうけん』の冒頭である。お昼寝前にけんかをしていたさとしとあきらは、罰として、おしいれの上と…